朝抹茶

「朝抹茶」。私はそう呼んでいるのですが、時々、朝少しだけ早起きをしてお茶を一服点ててから一日を始めることがあります。

 

季節によって表情を変える朝の光、お湯を注ぐ音、手に伝わるお茶碗の温もり、豊かなお茶の香り。
朝抹茶をしていると忙しい日々の中で左右に触れがちな感情が真ん中に整うような、心の余分なものが落ちて清められるような、そんな気がいたします。テーブル茶道の良いところは、覚えたお点前をそのまま自宅でも出来ることです。
お点前の練習も兼ねて「朝抹茶」始めてみませんか?

Imstagramでも時折「朝抹茶」の様子をご紹介しています。(#ゆいテーブル茶道教室 #ゆい朝抹茶)


朝抹茶記


2019年7月14日

なつかしいお店のお干菓子と柚餅子で朝抹茶。昨日のお祝い事の余韻。

広がる裾野。

しみじみと嬉しい朝抹茶。 



2019年7月7日

七夕の朝抹茶。 

「我がためと織女(たなばたつめ)のそのやどに 織る白栲は織りてけむかも」万葉集

 

神衣織る乙女の機音。滝の音。

棚機津女と星の物語、乞巧奠。

やがて習合して七夕に。

 

催涙雨になりそうな雨に、ふと、七夕には禊の意味もあったと思い出す。

 

お菓子は可愛らしく「星まつり」菓匠菊屋製。雨が上がり二星が逢えますように。 



2019年7月1日

文月朔日。星の月の始まり。

朝抹茶のお供は、仙太郎さんの「二ツ星」。

七夕のお菓子は天の川に隔てられた意匠のものが多いけれど、こちらは笹舟に一緒に乗っているのがとても好きで、毎年見かけるとつい買ってしまいます。

 

「笹の葉 さらさら 軒端にゆれる…」

もうすぐ七夕。星合の日。

 



2019年6月14日

先日頂いた萩焼のお茶碗で朝抹茶。

「押入れに眠っていたので、良かったら使ってください」と萩出身の方がお持ちくださいました。

ふっくらと優しい肌触り。

七化けを楽しめるように大切に使わせて頂きます。

 

お菓子は先日の旅の思い出。

吉野の本葛を使った大谷醍予堂さんの葛落雁。

和三盆とはまた違う口溶けが楽しい。



2019年6月8日

特別な処へ出掛ける朝。

早起きをして濃茶を練りました。

 

馥郁たる香りとやがて現れる艶やかな緑。

それは、雨に濡れた樹々の色のような美しさ。



2019年6月1日

水無月朔日。

水の月の始まり。

そして、今日は氷の節句。

氷室を開いた氷の朔日。

 

宮中では、旧暦のこの日に氷室から取り寄せた氷を頂いて暑気を払う習慣がありました。

けれど、庶民はなかなか氷を手にすることが出来ません。そこで、生まれたのが氷をかたどったお菓子「水無月」。 今朝は、水無月の代わりにに五郎丸屋さんの「薄氷」を頂きました。



2019年5月25日

空に白く有明の月。

欠けゆく月は静の頃。

 

暑くなりそうなので、仕舞い込んでいた平茶碗取り出しての一服。涼しげとお懐紙は透かしのある五島美術館のものを。

 

慌ただしかった一週間。

繋がり続ける思考。

けれど、お茶を点てる時は思考を止める。無心になる。

馥郁たる香りを愉んだ後は、真っさらで、全ては新たに始まる、そんな気がしている。



2019年5月13日

曇り空の朝。

薄暗い光もお茶を点てるようになって好ましく思えるようになった。晴れの日は外へ、そうでない日は内へ心は向かう。

陰陽があるから物事は巡る。

 

お菓子は週末のお教室でお出しした「あやめ」塩野製と「柚餅」鶴屋吉信製。

 

盛りと咲く花から余所へ目を向けると、そこにはそっと次の季節の支度が始まっている。昨日目にしたのは花電車井の頭線沿いの紫陽花の蕾たち。



2019年5月2日

新しい御世の始まり。

お供は鳳凰のお懐紙に令月にちなんで梅の花を。 

「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」

 

令和は文化の香り立つ麗しい時代。



2019年4月23日

今朝のお供は「虹の色」亀屋良長製。

百穀を潤す雨の降る頃、穀雨。

恵の雨で緑は日に日に濃く。

やがて、雨上がれば、空にかかる柔らかな春の虹。



2019年4月12日

大気は澄み光は明るく清らかな朝。

光の中には僅かに次の季節の気配。

季節は行きつ戻りつ移ろう。

その重なりの美しさ。

一服のお茶を点てながら、その美しさを享受する。



2019年4月10日

目覚めて瞳を開ける前から

伝わってくる雨の気配。

雨の日の一服に会いたいと点てるお茶。

音の響き、香りの広がりの中に雨の恵み。

 

しとしと、しとしと花散らし。

桜が最後の花弁を散らし

代わりに緑の萌える頃。



2019年4月2日

「桜花ちりぬる風のなごりには水なき空に波ぞたちける」紀貫之

 

桜の花弁が風に舞う頃になると思い出す、とても好きな一首。



2019年3月30日

菓銘「春の野」

色合いを見、菓銘を知ると、そこに風景が浮かぶ。記憶の中の心の中の懐かしい春。

長閑で優しい風景。



2019年3月27日

花曇りの日の朝抹茶。

お菓子は「佐保姫」菊屋製。

 

佐保姫はご存知の通り春の女神。秋の女神は竜田姫。ならば夏と冬はと思い調べたことがありました。夏は筒姫、冬は黒姫、宇津田姫(諸説ありますが)。

佐保姫のお菓子だからと花の色のお茶碗にしましたが、空色ー水色でも良かったですね。

 

四神相応、春は青。

そんなことを考えて遊ぶ朝。



2019年3月23日

春眠暁を覚えず、のはずなのに目の覚めてしまった週末の朝。少しゆったりと支度をして一服点てました。

お菓子は頂き物で鶴屋吉信さんの「春のどか」。菜の花畑に舞う紋白蝶。桜の下の菜の花にもそろそろ蝶が遊びに来る頃でしょうか。



2019年3月22日

清々しい朝の空気。

心を真っさらにしてお茶を点て、咲く花の美しさを想い始める一日。桜の蕾はひとつ、またひとつと綻んで。



2019年3月17日

そっと開く花を待ちながらの朝抹茶。

桜は、淡いに、間(はざま)に咲く花。夢幻と現実、この世とあの世、過去と今。

花の下に立つとそう思えてくる。



2019年3月6日

「朝夕に花待つころは思ひ寝の 夢のうちにぞ咲きはじめける」

 

巳の節句を過ぎると心は桜に向かう。記憶の中の桜を抱きながら。



2019年3月2日

弥生。春の気配に心の浮き立つ朝。

今朝は桃花色のお茶碗に、白と若菜の色糸茶筅でお茶を点てました。(桃、白、緑、菱餅の三色)

 

「春の園紅にほふ桃の花下照る道に出で立つをとめ」

 

匂いは香りのことと思いがちですが、古は色彩やその人を包む気配のことも指しました。

花のない樹々も花の匂いを纏いだす。蕾になる前の花の輝き、ゆらゆらと。

明日は桃の節句。上巳の節句。



2019年2月22日

茶筅通しをしようと、さらりとお湯に茶筅を浸すと立ち上る竹の清々しい香り。香りの広がり方も春のそれと、少し心を踊らせながらの朝抹茶。

 

お菓子も春の芽吹きの「下萌え」たねや製。冬枯れの大地から草の芽の芽吹く様。

素朴な見た目も実はとても好みなのです。



2019年2月11日

雪の舞ってきそうな雪待ちの空。先日の色糸茶筅、若菜摘みの茶筅で朝抹茶。

 

お菓子は老松さんの「寒紅餅」。京都、北野天満宮の梅苑茶屋でも出されているとか。数年前に訪れた天満宮。まだ蕾が多かったのに境内が芳しい香りに満ちていたのを思い出します。



2019年2月4日

立春の日の朝抹茶。

二十四節気は立春から始まる。

春の始まりと新たな一年を寿ぐ。



2019年1月21日

大寒。寒さの中に咲く花で朝抹茶。

彩りの少ない時期だけれど、眠っているように見える樹々もやがて来る季節に向けて、その内側ではそっと花支度をしています。

花の咲く前の枝からは花の色が、花の咲いた枝からは新緑の色が染まるとは、染色家の志村ふくみさんの言。

冬枯れの枝の内側に新しい命の輝きを思う頃。



2019年1月4日

朝抹茶始め。

新年なので重ね茶碗と日の丸棗、お菓子も鶴でお目出度く。

 

初詣で引いたおみくじには大吉で「苔むせる松が枝に千年の鶴鳴きて晴れたる空に御世を寿ぐ」とありましたが、点てたお抹茶が松の緑のようにも思えました。

 

今年も良い年になりますようにと願いを込めて。



2018年12月27日

冬至から運が上向くといいますが、嬉しい報せが届いたのは冬至の翌日。 

朝抹茶は、夜明けを意味する「しののめ」と雪中の花、此花と。

夜が明けて、このまま花の咲きますように。



2018年12月22日

柚子香る柿寿賀で朝抹茶。

陰極まって陽生ず。

一陽来復。

二十四節気 冬至の朝。



2018年12月18日

冬のお茶碗、筒茶碗での朝抹茶。

お干菓子は松葉。

お懐紙には藤田美術館の交趾大亀香合の絵。

松と亀。使い始めの抹茶碗を永く使えますようにという験担ぎ。



2018年12月7日

二十四節気 大雪の朝。

棗は雪華模様。

蓋を開けると映る緑は雪中の松のよう。

輝きを内に秘める静の季節の始まり。



2018年11月29日

散りゆく紅葉。

初雪の便り。

移りゆくからこそ愛おしい時。

 

「散りおける緋の一葉を押しつつみ 今は静かに雪の降り敷く」

 

二十四節気 小雪から大雪に向かう頃に。(自作歌)