桔梗

「もうすぐ立秋ですから、秋の七草のひとつ桔梗をご用意しました」

先日の茶道教室で桔梗のお菓子をお出しする時にそう説明しながら、ふと思い出したことがありました。

 

「ご自身がお茶会をするとしたら、ご用意するお茶とお菓子は何にしますか?」

インストラクターコースの中では、抹茶やお菓子のことを勉強する回がありますが、それまでの宿題として自分で抹茶と和菓子について調べて、次回までレポートにまとめ自分のお茶会にお出しするものを理由を添えて発表します。(インストラクターコースで一番楽しい回です)

 

どんな和菓子屋さんがどんなお菓子を作っているのか調べなくちゃ。

そう思っての和菓子屋さん巡り。とても楽しいものでした。

時期はちょうど7月の下旬から8月の上旬。

一部ですが、その時の写真が残っていました。

 

本当に色々なお菓子がありました。朝顔、向日葵、紅花...なんと西瓜!

 

和菓子は古典的なものが多いのかと思っていたのに、向日葵や西瓜のようなモダンに感じるデザインのものがあったり、菓銘も例えば朝顔だったらそのまま「朝顔」にしていたり、少しひねって「観察日記」としていたり、お店の個性が伺えました。

写真には残していませんが、印象に残っているのは塩瀬総本家さんの「もらいみず」。

菓銘で、ぴんと来る方もいるかもしれませんが、そのお菓子には、井桁と朝顔の葉があしらわれています。井桁は井戸のふちのこと。「朝顔につるべ取られてもらひ水」という一句を思い出すお菓子です。

 

素敵な和菓子が多いので、ついつい買ってしまい、この頃、冷蔵庫や冷凍庫には和菓子が随分とストックされていました。笑

 

最初のテーマに戻すと「自分のお茶会で用意するお菓子」です。(抹茶はひとまず置いておいて)

足を運んでいるうちに、和菓子屋さんは日曜日は閉まっている場合が多いこと、営業時間も夕方までか売り切り次第と短いこともあるのを知り、もし日曜に開催するなら?遅い時間でも大丈夫なお店は?自宅の近くの和菓子屋さんは?といったことも調べました。

和菓子の大きさもお店によって違います。大きくて華やかなお菓子は喜ばれる方も多いでしょうが、暑くて食の落ちている頃だったり、甘いものはあまり頂かない男性であれば、小振りのものも良いかなとも考えるようにもなりました。

 

自分のお茶会=この場合、体験レッスンの「おもてなし茶の湯」です。茶道初心者のお客さまがお箸で取りやすいということもお客さまが慌てないようにするための大切なポイントでした。

 

インストラクターコースでの発表は8月の上旬。立秋の頃。

コースの中では実際に和菓子を持ってくる訳ではありませんが、先程のそれぞれのお店やお菓子の特徴をレポートし、最後に

 

「8月の暑い中いらしてくださる方に、先ず目で涼んでいただける色合いということ、そして暑くても立秋ですので秋の七草のひとつから桔梗をご用意したいと思います」

 

そうお答えしました。


桔梗にしたのは夏の暑い日に絽の着物に袖を通してお能を観に行き、その後、庭園美術館のカフェで庭を見て寛いでいる時に目にした、涼やかに揺れる紫色の花の姿、その記憶も手伝ったように思います。

 

その発表のことが頭に残っていたのか、無事インストラクターになり「おもてなし茶の湯」を開催するようになり、8月にお出ししたのは、たねやさんの「花野」。お干菓子は鶴屋吉信さんの御所氷室にして、秋を迎えつつ名残の氷を楽しむというテーマにした記憶があります。

たねやさんの「花野」。桔梗の意匠です。

 

その後、講師コースに進み茶道教室を開くようになりましたが、桔梗と聞くとあの夏の和菓子屋さん巡りを思い出します。

 

インストラクターコースでの発表は8月でしたが、本番の卒業試験のお茶会は11月。

お出ししたお菓子は菊屋さんに特注した「ちはやふる」。その時のお話は長くなってしまったので、また今度にでも。

 

2018年8月7日 二十四節気「立秋」の日に。

 

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