常夏女

五月は再会の月なのでしょうか?

先週は韓国から生徒さんがいらしてくださいましたが、この日は名古屋に引っ越された生徒さんが来てくださり、明大前では初の夜のクラスとなりました。折角なので夜を楽しむ演出はないかとふと思い、夜咄の茶事を思い出して、皆さんがいらっしゃる頃に電気を消し蝋燭を灯してみました。(和蝋燭があると良かったのだけれど)

 

いらしてくださったのは名古屋に引っ越された方と、その方が引っ越す直前の三月にお教室にいらした時に、居合わせたおふたり。その時に、次に東京にいらっしゃる日に茶道教室をしましょう、と皆で約束をしていたのでした。

 

私も久しぶりにお顔を拝見して、ほっとしましたが、他のおふたりも再会できる日を待っていらしたようでした。

三月のレッスンの時は名古屋の方は茶人(ちゃびっと)さんでしたが、他のおふたりはまだ始められたばかり。

お点前が覚束ない箇所もあり、手が止まっては考え、止まっては考えというご様子を、名古屋の方も応援するような気持ちで暖かく見守っていらっしゃいました。

それから少し時が経ち再会のこの日。

おふたりも茶人さんになり「●●さんが来るのでお点前の練習をしてきました」と、とてもしっかりとしたお点前をしてくださいました。

 

お出ししたお菓子は「常夏女」鶴屋吉信製。

常夏は撫子の花の別名。お菓子にも白く撫子の花が。

そして「常夏女」は、源氏物語の「雨夜の品定め」で語られた夕顔という女性のことです。

二十四節気「小満」。万物が成長の気に満ちる頃ですが梅雨の走りの頃にもなります。

この時期にこの常夏女のお菓子がお店に並ぶのは、たぶん、「雨夜の品定め」が梅雨の夜のお話だから。

そろそろ梅雨の走り。そして、この日のお稽古は夜ということでのご用意でした。

 

「山がつの垣ほ荒るともをりをりに あはれはかけよ撫子の露」

「咲きまじる色はいづれと分かねども なほとこなつにしくものぞなき」

 

ー源氏物語(帚木)ー

 

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有結流ゆいテーブル茶道教室