笹百合と五十鈴

先日、週末のお教室はお休みにして一泊二日で奈良へ。

目的地のひとつは天河神社。

 

「呼ばれないと行けない処」

そう言われている天河神社。ご祭神は水の神さま、芸術芸能の神さま。

水神さまのいらっしゃる水の社なので、出来ればお参りは、水の月、水無月に。

そう思っていました。

 

奈良に着くと、しとしとと雨は降ったり止んだり。

時折、光もさして、雨に濡れた緑も美しく、境内は穏やかで静謐な気に満ちていました。

数年前に訪れた水の里「室生」と気配が似ている気もします。 

 

天河神社の近くを流れる天ノ川。澄んだ美しい流れ。

解禁になった鮎釣りをしている(?)人の姿も。

 

翌日は、笹百合に会いに三輪へ。

三年前に、率川神社で三枝祭(百合祭り)を見た後に、花の故郷を訪ねて大神神社と狭井神社に来たことがあったのですが、その境内の同じ場所で同じ花が今年も咲いていました。 

 

笹百合の咲く狭井川の畔で遊ぶ七人の乙女たち。

ひとりの若者が、七人のうち一番前にいた乙女に求愛し、ふたりは結ばれます。

「穢しき小屋に 菅畳 いや清敷きて 我が二人寝し」

百合の婚姻。

 

この若者は初代天皇神武天皇。

乙女は媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめのみこと)。三輪の大物主という神さまの娘でした。

 

天河神社の前に、このおふたり神武天皇、五十鈴媛の二柱をお祭りした橿原神宮にもお参りしたのですが、降り出した薄衣のような雨の中、厳かに婚姻の式が執り行われていました。

 

皇后になられた媛蹈鞴五十鈴媛命も五十鈴媛。そして、天河神社の神器も五十鈴という独特な形をした楽器。

天河神社、橿原神宮、大神神社、狭井神社。五十鈴で繋がる水性豊かな水の里。

心まで潤う旅でした。 

 

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