花のたより

3月11日。今日という日に思い出すのは、九年前、咲き始めた桜を目にしただけで、春はそれでも来るのだと涙が溢れたこと。

輪番制での節電。暗い都内。

例年ライトアップされていた桜も、あの年は夜の闇の中、ひそと仄白く浮かび上がっていました。

 

その記憶を辿りながら、ずいぶんと早い今年の花の便りに、桜尽くしのお菓子をご用意いたしました。 

主菓子は「花のたより」たねや製。花の便りとは、花が咲いたという知らせのこと。

そして、お干菓子は宝石箱のような桜の花、塩野製を。

都内の桜は開き始めたそうですね、

そんなお話をしながら生徒さんと頂いた一服はしみじみと美味しかったです。

 

桜の話からお稽古を始めたからか、生徒さんの口からは桜の女神 木花咲耶姫とその姫神を祭る浅間神社という私には縁のある名前が。ご縁とは不思議だとしみじみ思うのでした。

それにしても生徒さんと自然と色んなお話になったのは、やはり特別な日だったからでしょうか。

 

あの大地が大きく揺れた日から、日本は毎年のように様々な災害に見舞われてきました。

その中でパニックを起こさず、不安と向き合いなからも、冷静に行動したり、判断できるようになっているように思います。

行き場の無い、痛み、悲しみ、そしてなお、消えることのない希望。

 

揺れる灯に祈りを込めて。